


名古屋市西区のチョコレート専門店「choco rico(チョコリコ)」は、カカオ豆からチョコレートになるまでの製造工程を自社工房で一貫して行う「Bean to bar」にこだわり、製造販売しています。実は、チョコレート専門店をオープンするきっかけは「カンボジアの子どもたち」だったとか。オーナーショコラティエである渡邉 由利子さんと、夫の渡邉 千晃(ちあき)さんにお話をうかがいました。
渡邉 由利子さん(最前列左)、渡邉 千晃さん(最前列右)
途上国支援にかかわっていた千晃さんが、2014年にカンボジアを訪れ、貧困地域や孤児院などをめぐり、経済的な理由で学校に通えない子どもたちが大勢いることを知ったのが、そもそものきっかけ。経済的に自立できない親も多く、単純に学校(ハコ)を作るだけでは子どもたちの支援にならない。子どもたちが学校に通い、学べる「仕組み」を作ることの必要性を痛切に感じたそう。自分が何か事業を起こして、親世代を直接雇用して彼らが自立できれば、その子どもたちが学校に通えます。「何をやろう?」と考え、最終的にカカオ豆の栽培を自分の手でてがける決意をしたのだと言います。
渡邉 千晃さん(後列左)、渡邉 由利子さん(後列右)
カカオ豆は産業としてのすそ野が広い。カカオを栽培するだけでなく、チョコレートを作るまでの加工作業があり、さまざまな仕事を細分化して参加してもらうことができます。カカオ豆を栽培する以上、自分たちでカカオ豆からチョコレートを作れるようになっておいたほうがいいと考えた千晃さん、妻の由利子さんに相談したところ、なんと由利子さんはそれまでの仕事をあっさり辞め、ショコラティエになるべく修行をスタートさせることに。由利子さんは千晃さんの計画を聴いた瞬間に「何?それ、楽しそう!」と思ったのだそう。「自分の命の使い方について考えていた時期ともかさなり、これが私の仕事だったんだ!と思っちゃったんです(笑)」。
しかし、もともと素人からのスタート。「Bean to bar」のチョコレートを作る店で修行させてもらった後は、独学。狭い自宅のキッチンで毎日毎日チョコレートと格闘する日々が続き、これだという味にたどり着くまでは、なんと2年もの歳月が必要でした。
現在カカオ農場はカンボジアにひとつ。そこから直接オーガニックのカカオ豆を輸入し、天然のパームシュガーを作っている村からこれも直接輸入していますが、もちろん、自社農園のカカオ豆からチョコレートを作るのが目標です。今は「チョコリコ農園」を作っている真っ最中。2019年の12月に今輸入しているカカオ農園から苗を20本分けてもらって、その苗のうち11本が実をつけるまでに成長。その種をマザーツリーとして苗を育て、2022年の10月にそうやって育てた苗を100本、自分たちで現地の方と一緒に農園に植えてきました。このカカオたちが実をつけてその実でチョコレートを作れるようになるには、あと2年くらいはかかるとか。1本でも多くの苗を作付けして多くの収穫を目指すことが、たくさんの雇用を生み、それが1人でも多くの子どもたちを学校に行かせるという目的にもつながります。今年の4月・5月には、また現地へ苗を植えにでかける予定だそうです。
「choco rico(チョコリコ)」オーナーショコラティエ 渡邉 由利子さんと、夫の渡邉 千晃さん
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