着なくなったダウンジャケット、何気なく捨てていませんか? 使わなくなった羽毛布団、おうちに眠っていませんか?そんな羽毛製品を回収しリサイクル製品としてよみがえらせるのが「Green Down Project」。羽毛を共有の資源として循環するシステムづくりを推進するプロジェクトです。
活動について、一般社団法人 Green Down Project 代表理事の長井 一浩(かずひろ)さんに、詳しくお話をうかがいました。
使わなくなった羽毛製品を循環させる

解体作業の様子
「Green Down Project」は、不要になった羽毛製品を捨てるのではなく、回収して羽毛を循環させるしくみを確立するプロジェクトです。使用済みの羽毛製品は全国で約1000か所ある常設の店舗で回収し、障がい者の方々の力も借りて、それを選別・解体します。取り出した羽毛を洗浄して新たな再生羽毛(リサイクルダウン)にし、それを使って商品を作り、小売りの方々が販売、そしてそれらを消費者が購入…というサイクルをつくります。羽毛製品を再資源化することは、まずゴミの減量につながりますし、さらに焼却時に発生する二酸化炭素の排出をおさえ、羽毛をとる水鳥の保護にもつながります。また、回収した羽毛の解体選別を障がい者支援施設に依頼していますので、彼らの雇用や自立を支える取り組みにもつながっていると考えています。
2023年度はおよそ90トンの羽毛を回収

回収した羽毛布団
リサイクルは、品質表示の「ダウン率」が50%以上の羽毛製品が対象です。指定の回収店舗へ持ち込むだけで、この取り組みに参加していただくことができます。
プロジェクトの立ち上げは2015年で、当時は協力団体の数はたった14団体でした。約5トンのリサイクルダウンを使った商品が世の中に販売されましたが、現在では、196の企業団体の方とパートナーシップを結んでいます。2023年度には約90トンの回収、そして、約70トンのリサイクルダウンが世の中に出ていっています。ダウンジャケット1着に約100gから150g、羽毛布団ですと一般的な掛布団で1kgくらいの羽毛が必要だと換算していただくと、その量がイメージいただけると思います。
日本国内に眠っている羽毛はまだまだ多い

長井 一浩さん
以前、社会福祉団体で働いていたとき、羽毛の廃棄、回収の相談をうけたのが、このプロジェクトを立ち上げるきっかけでした。行政側からは、廃棄物でとても多い羽毛布団の回収というメリットがあり、また、環境汚染産業の一つと言われるアパレル業者側からは、環境負荷の軽減につながるというメリットがあります。さまざまな立場からダウンリサイクルの意義や良さを知っていただき、少しずつではありますが、みなさんが関心を寄せていただくようになり、反響が広がっていったと感じています。しかし、確かに我々のプロジェクトの回収量と使用量は増えてはいますが、実は日本全体ではもっとたくさんの羽毛製品がつくられ、販売されています。羽毛布団だけもおよそ250万~300万枚。羽毛で2500~3000トンといった量です。こう考えると、回収できている量もまだわずか。そして、リサイクルされている羽毛もまだまだわずか。羽毛製品はサイクルが長いので、リサイクルできるということを知らない人も多いんです。こうした情報を広めていきたいですし、みなさんのお宅の押し入れや、クローゼットの中に眠っている使わなくなった羽毛製品がありましたら、ぜひ回収に協力いただけたらうれしいです。羽毛をリサイクルすることが当たり前の社会になることが、私の夢でもあります。
一般社団法人 Green Down Project 代表理事 長井 一浩さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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