2024.02.16

認定NPO法人「おてらおやつクラブ」理事 野田 芳樹さんのSDGs

おてらおやつクラブ

2024.02.16

「おてらおやつクラブ」とは、お寺の「お供えもの」を仏様からのおさがりとして、子ども食堂などに「おすそわけ」するプロジェクト。2013年からスタートして、今年(2023年)6月時点で、全国1875もの寺院が賛同、参加しています。認定NPO法人「おてらおやつクラブ」理事の1人で、愛知県春日井市林島町(はやしじまちょう)の林昌寺(りんしょうじ)副住職 野田 芳樹さんにお話をうかがいました。

子どもの貧困問題と向き合って…

2013年大阪で起きた「母子餓死事件」。当時28歳だったシングルマザーのお母さんと3歳の息子さんが、マンションで餓死状態で発見されたという非常に痛ましい事件でした。「最後におなか一杯食べさせてあげたかった。ごめんね」という手紙が遺体のそばにおかれてあったそうです。この報道をうけて立ち上がったのが、奈良県にある安養寺の松島靖朗住職。お寺のお供えものを必要とする方にとどけられたら、お寺でお預かりするお供え物をもっと有効活用できるのではないか、と始まった活動が「おてらおやつクラブ」です。以来、全国に活動がひろがり、今年(2023年)6月時点では、1875もの寺院が参加。月間こどもの支援数は、延べ2万6千人になります。

おそなえ→おさがり→おすそわけ

野田 芳樹さん

私がつとめる林昌寺は、2015年5月から活動に参加しています。お預かりしたお供え物をなるべく無駄にならないように、ということはずっと心にかかる課題でした。お盆や年末年始などは特に檀家のみなさまからお供え物をたくさんいただきます。尊くありがたいことで、お客様にお土産としておすそわけしたり、近くの就労支援施設におわけしたりはしていたんですが、なかなか一度に消費しきれないこともありました。そんなとき、「おてらおやつクラブ」の活動を知ってすぐに参加することにしました。
活動の基本形としては、お寺のお供え物を仏様からのおさがりとしていただいて、それを困っている方、ひとり親の方であったりとか、あるいは子どもを支援している団体におすそわけする、というものです。各地のお寺と各地の支援団体をつなげて、日本各地で見守りのネットワークをつくっていくというのが、主な活動です。

おすそわけできるのは食べ物だけではない

うちの寺では、月に一度、発送会を開いてボランティアの方にご協力いただき、賞味期限などを確認し箱詰めしてとどけています。「おやつ」といってもお菓子だけではなく、お米や果物、レトルトの食品、おもちゃ、シャンプーやタオルなどの日用品など、さまざまなものをお送りしています。参加者の中には「子どもの貧困について報道で知ってはいたが、自分でも何かできないかとずっと考えていたので、少しでも携われてうれしい」と言って下さる方も。「かかわってくれる方がうれしい」と思ってもらえるような活動にしていきたいとも思っています。
日本には7万以上のお寺があるといわれています。おてらおやつクラブに参加している寺は1800を超えましたが、参加率は3%弱といったところ。もっと日本全国の「近くのお寺」が参加してくだされば、経済的に困窮する家庭へのサポートもしやすくなると思います。ある統計によると、困りごとを抱えているひとり親の世帯数は約30万件といわれており、まだ我々がつながれていないご家庭もあると思います。気兼ねなく「助けて」という声をあげていただきたいなと思いますし、そういった方を支えられるよう、日本各地で支援の輪が広がっていけるように尽力していきたいと思っています。

取材先

認定NPO法人「おてらおやつクラブ」理事 野田 芳樹さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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