2026.10.23

一般社団法人「Ayumi」代表理事 山口 広登さんのSDGs

ユニバーサルツーリズムを考える (1/2)

2026.10.23

「ユニバーサルツーリズム」という言葉をご存じでしょうか?以前に番組でも車いす利用者や医療的なケアが必要な方々を対象にした、ハワイへのツアーを紹介したことがあります。すべての人が安心して旅を楽しむことを目指すのが「ユニバーサルツーリズム」。その普及に取り組んでいる一般社団法人「Ayumi」の代表理事、山口 広登(ひろと)さんに、2週にわたってお話しをうかがいました。

健常者目線のバリアフリーと障がい当事者目線のズレ

山口 広登さん

観光協会や、公的施設、ホテル・飲食店などの商業施設に対して受け入れ環境を整備するアドバイスや、企業や自治体に向けて「心のバリアフリー」「物理的なバリアフリー」に関する研修などを行っています。基本的には「本来のバリアフリーとは何か?」「障がい当事者にとってのバリアフリーと健常者にとってのバリアフリーの違い」などについてお話をすることが多いです。例えば、健常者目線で段差が一段くらいならOKと考える人もいますし、スロープがあってもその角度が急だと車いすでは一人で上れなかったり、階段の手すりも片側だけで両側になかったりするんですが、それでバリアフリーだと言っていたりします。また、ホテルなどではバリアフリーなのは入り口だけで、部屋の中は段差だらけ、ハンガーやシャワーの位置が高くて使えなかったり、なんてこともあります。こういうのを僕らの中では「なんちゃってバリアフリー」って言うんですけど、障がいの当事者にとってのバリアフリーになっていないんです。

どんなサポートを提供したらいいか、まずは学ぼう

2024年4月1日から改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者に対して、障がいのある方への合理的配慮の提供が法的に義務化されました。これによって企業や店舗、個人事業主も対象になって、いわゆる差別表現や、差別的な行為などが少なくなってきているなと感じます。加えて、合理的配慮を提供するためにはどんなサポートをしたらいいのか、研修を受けてまず学んでみようという気運も高まってきていると思います。法人を立ちあげて5年目になりますが、100社を超える企業や自治体などさまざまなところから研修の申し込みをいただいています。

まだまだ発展途上のバリアフリー

私のいとこが車いす利用者で、一緒にでかけた旅行が法人を立ち上げるきっかけでした。予約の段階でまずバリアフリーの情報がなかなか手に入らないうえに、バリアフリーだといわれて宿泊した旅館は、入り口だけがバリアフリー。浴室には段差があって、結局いとこはお風呂に入れなかったんですが、いとこは「慣れてるから大丈夫」と。その時に初めて、私はそういう「あきらめ」が当たり前になっている世界があることを知ったんです。そしてそういった人たちを一人でもなくしたいと考えて、起業し今まで走り続けています。今年10月にアジアパラ競技大会が名古屋・愛知県で開催されますが、豊田市などはバリアフリー、ユニバーサルツーリズムに非常に力を入れていて、観光協会さんや自治体が勉強されているなと感じます。しかし他の市や町に目を向けるとインバウンドや、ハラールなどの食事向けの対策は多いんですが、高齢者や障がい者への配慮にまでは至っていないように思います。これが契機になって住みやすい町づくりが促進されていくといいなと感じます。障がいや病気に関係なく、それぞれが行きたいと思った店にひとつでも多く、気軽に行ける。そんな選択肢のある社会になるといいなと思います。

※次週は「Ayumi」が運営する国内最大級のバリアフリーサイト「ふらっと。」についてうかがいます。

取材先

一般社団法人「Ayumi」代表理事 山口 広登さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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