2023.05.19

東山動植物園 飼育第二係 茂野 寛生さんのSDGs

オオアリクイ

シリーズ:絶滅危惧種を考える

2023.05.19

11月29日は「世界アリクイの日」。東山動植物園には、日本最年長のオオアリクイがいるんです。アリクイってどんな生き物なんでしょうか。アリを食べる舌の長い動物という漠然としたイメージしかないんですが…。
東山動植物園 飼育第二係の茂野 寛生(しげの ひろみ)さんにうかがいました。

日本最年長と日本一の子だくさん

提供:名古屋市東山動植物園

日本の動物園ではオオアリクイは現在、6つの園で15頭が飼育されています。最も多く飼育しているのは、沖縄こども園と東山動植物園でいずれも4頭。東山には、日本最年長で29歳のアント(オス)がいます。通常の寿命の倍のご長寿さんです。そして
19歳オスのサビオ、15歳のメスのエミ、サビオとエミの子どもである1歳のメスのサエがいます。今年の5月ごろまでエミが、サエを背中に乗せて歩く姿が人気でした。エミは、これまで6頭の出産経験があり、日本一の子だくさんオオアリクイです。
サエも今は母親から離れて単独で暮らしています。

オオアリクイの食事

提供:名古屋市東山動植物園

地球には、ヒメアリクイ、オオアリクイ、キタコアリクイ、ミナミコアリクイの4種類のアリクイが生息しています。東山で飼育しているオオアリクイは、中南米から南米赤道付近の沼地や草原、ひらけた森林に単独で暮らしています。野生下での食べ物は主にアリですが、他の昆虫なども食べるようです。一日に3万から5万匹ほど食べると言われています。歯がなくて長い舌でアリをからめとって食べますが、舌は60センチくらい伸びるといわれています。触った感じはそれほどざらざらしていません。ただし、ネバネバがすごいです。口元に手をもっていくとペロッとなめてくる個体もあるんですが、そのあとは手がねちゃねちゃで(笑)ちょっと洗ったくらいではとれません。
動物園でのエサは、食虫目ペレットというものが非常に栄養的にすぐれているのでそれをメインにして、腐葉土(野生下ではアリを食べるときに土も口に入るので)、馬肉ミンチ、鶏ささみを混ぜています。アリは与えていませんが、同じ酸性のものということで、酢やヨーグルトなどが非常に好きで、不定期で与えています。

絶滅の危機に瀕しているオオアリクイ

東山動植物園 飼育第二係 茂野 寛生さん(提供:名古屋市東山動植物園)

野生下でのオオアリクイの個体数は減少していて、生息地では絶滅に近いといわれています。IUCN(国際自然保護連合)によると、過去10年間で30%の減少が推定されています。原因は、森林伐採による生息地の破壊、あとは事故、犬などに襲われてしまったり、食用にされたりもしていたようです。一番の原因は、サトウキビ畑を作るための焼き畑開発で、オオアリクイの生活している森林が破壊されていることが大きいといわれています。

取材先

東山動植物園 飼育第二係 茂野 寛生さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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