2023.11.28

NPO法人 コーヒー生産地と協働する会 理事 野村 憲一さんのSDGs

一杯のコーヒーから見えてくる世界

2023.11.28

ルワンダは、東アフリカにある人口1000万人ほどの小さな国。かつては「アフリカのスイス」と称されたほど、自然の美しい国でしたが、長年の内戦で疲弊し、最近になってようやく復興の兆しが見えてきたところ。そんなルワンダのコーヒー生産地の農家と一緒に、コーヒー畑の土壌改良をしているグループがあります。「NPO法人 コーヒー生産地と協働する会」理事の野村 憲一さんにお話をうかがいました。

あまりにも小規模なルワンダのコーヒー農家

ルワンダのコーヒーは、個人的な印象ですが、果物でいうとマスカットやお茶(発酵をあまりしていない緑茶のような)を思わせるさわやかで明るい味です。大規模な農園はほとんどなく、1人の農家で1ヘクタール以下、コーヒーの木を200本持っているかどうかという小さな規模です。ルワンダは四国くらいの広さしかないんですが、すごく人口密度が高くて、どうしても農家の規模が小さくなってしまうんですね。我々は「農園」というより「コーヒー農家さん」という表現をしています。ルワンダでは、農家からコーヒーの実を買う会社(「オーシングステーション」)が豆を買い、実を乾燥させて中の種をとりだし、それが輸出されます。我々は小さなコーヒー農家さんを対象に、彼らが持っている畑の土壌で持続的にコーヒーが生産できるよう土壌の改良を行うことと、彼らが自ら改良した畑を維持管理できるように支援しています。

「面倒くさいやつら」と思われているかも…(笑)

わたしは、三重県桑名市と名古屋市でコーヒーショップを経営しているんですが、コーヒーの仕事で年に何度かルワンダに足を運んでいました。そこで青年海外協力隊として活動していた古賀聖啓(こがまさひろ)さんと出会ったのが、支援に参加することになったきっかけ。古賀さんは大学時代から土壌の研究をしていて、また人の役に立ちたいという気持ちの強い方。知見を活かして農家の土壌の改良を行う支援に入っておられたんです。実際に我々が支援に入っているコーヒー農家さんの場合「家の裏庭に誰が植えたかわからないコーヒーの木が生えていて、年に一回赤く実がなるのでそれを採って現金に換えてるんだ」みたいな形で、肥料の管理も剪定も一切していない状態でした。また、裕福な地域ではないので、食糧や医療の支援を求めることが優先。「土壌を改良しませんか」「一緒に働いてくださいね」という我々が、必ずしも最初から歓迎されたわけではないです。「面倒くさいやつらが来たな」って今も思われているかもしれません(笑)

野村 憲一さん

世界中のコーヒー農家の支援に

しかし、サポートを始めて3年目。やる気のある農家さんが、少しずつ興味をもってとりくんでくれるようになってきました。ルワンダでは1月2月から収穫が始まり、3月くらいに終了します。その時期の土の状態を調査して具体的な指導をしています。これまで廃棄されていたコーヒーの皮や実の部分をたい肥につくって土を作る方法なども行っています。
今年(2022年)ODA(政府開発援助)を申請して採択されました。来年(2023年)からは新たなステップを目指して活動していきたいと思っています。日々農家さんとの支援の中で積み上げてきたものをいかし、ルワンダだけでなくいろいろな国のコーヒー農家さんの土に関する依頼にも、広く対応できるような支援をしていきたいと考えています。

取材先

NPO法人 コーヒー生産地と協働する会 理事 野村 憲一さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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