2024.04.12

NPO法人しんせい 理事長 富永 美保さんのSDGs

福島復興を障がいのある人たちとともに

2024.04.12

東日本大震災では、未曾有の大災害に多くの人たちが避難生活を余儀なくされました。そんな中、「NPO法人しんせい」は弱い立場にいる障がいがある人たちを支援するだけでなく、ともに復興に活躍してもらおうと、福島で活動を始めました。
「誰一人置き去りにしない」というSDGsの理念を、震災・原発事故から復興した福島において、目に見える形で継続的に体現していると評価をうけ、2017年の第1回ジャパンSDGsアワードで内閣官房長官賞を受賞しました。プロジェクトのリーダーでNPO法人しんせいの理事長 富永 美保さんにお話をうかがいました。

避難生活の支援から就労の支援へ

富永 美保さん

12万人もの福島県民が避難生活を余儀なくされた東日本大震災。避難所が閉鎖され、仮設住宅にうつる時期に、ともすれば、障がいのある人たちが取り残され孤立しがちになっていました。そこでみなさんに集まっていただき、サロン活動に参加するように呼びかけました。音楽鑑賞をしたり、買い物にいったり、おいしいごはんをつくって食べたりと、余暇を楽しむ活動を行っていたんですが、1年がたつ頃からどんどん参加される方が減ってきたんです。その理由をお尋ねしたところ……みなさん、もともとおしゃべりが苦手な方が多かったこともあり、「人と話すことに疲れてしまった」とおっしゃるんです。そして「どんなことでもいいので仕事がしたい」「避難を機に自分の役割を見失ってしまった。役割が欲しい」といった声が強く聞かれたんです。そこで、サロン活動から方向転換をして就労活動に力を入れるようになりました。

「ミシンの学校」から生まれる新しい仕事

震災前からミシンを中心として小さな縫製をひきうけていた福祉事業所はいくつかありましたが、避難先で再開したくても、なかなか仕事につながらなかったんです。そこで「職員と利用者さんが一緒にミシンの技術を学ぶことから始めたい」とブラザー工業に相談をし、「ミシンの学校」を開講してもらいました。まずは技術をしっかり学ぼうと、毎月5つの事業所が集まり、ミシンの使い方からスタートしたワークショップを1年間行いました。生まれて初めてミシンを使ったという男性もいましたが、今では職人のように毎日ミシンと向き合っています。自分たちが創ったものが販売され、自分たちの工賃になるという実感に、利用者さんたちからも喜びの声があがっています。コロナ禍も「布マスク」を作って販売することで、無事に乗り切ることができました。

刺繍ミシンを駆使したSDGsバッジ

また、ミシンの学校で学ぶうちに、もっと高度なものを学びたい、刺繡ミシンの技術を身に着けたいという利用者さんが現れました。彼には聴覚と知的障がいがありましたが、ブラザー工業(株)が、チームを組んで名古屋から福島まで通って指導にあたってくれました。彼は17色の刺繍糸を使ったオリジナルのSDGsバッジを製作することができるようになったんです。おかげさまでこのバッジは好評で、今も毎月注文が入ります。ブラザー工業の社員もこのバッジを胸につけてくれているそうで、私たちの誇りです。
障がいのある方がミシンの技術を学ぶことで、自分たちの力でオリジナルの商品をつくることができるようになりました。この力を使って、これからも刺繍ミシンを使ったオリジナルのバッジづくりなどで、障がい者の工賃を向上させていきたいと考えています。

取材先

NPO法人しんせい 理事長 富永 美保さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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