2026.06.12

東山動植物園 飼育第二グループ 武田 梓さんのSDGs

アメリカバイソン

シリーズ:絶滅危惧種を考える

2026.06.12

月に一度、東山動植物園で飼育されている動物にスポットをあてて紹介しています。今月取り上げるのは「アメリカバイソン」。かつては絶滅の危機に瀕していましたが、復活した動物です。東山動植物園では、北園で現在2頭が飼育されています。東山動植物園 飼育第二グループの武田 梓さんにお話をうかがいました。

アメリカバイソンの名づけは、時代と世相を反映

武田 梓さん(写真提供:名古屋市東山動植物園)

アメリカバイソンは、本来はアメリカ大陸の草原や森林で群れをつくって暮らしています。牛の仲間なので草食です。東山では干し草を食べています。現在、東山には2009年生まれ16歳のメスの「マオ」と、2011年生まれ14歳のオスの「リョウ」の2頭のアメリカバイソンが飼育されています。それぞれの名前は当時の飼育員が、俳優の井上 真央さん、プロゴルファーの石川 遼さんから名づけたそう。時代がわかりますよね。アメリカバイソンは穏やかそうに見えますが、意外と上下関係が厳しく、以前、マオより年上のメスが2頭いましたが、並んでエサを食べるときも、強い仔からじゃないと食べられない、そんな一面があります。マオとリョウは夫婦ではありませんが、お互いが「いると安心する同居人」って感じです。

雪にはしゃぐ、アメリカバイソン

写真提供:名古屋市東山動植物園

アメリカバイソンの身体は「とにかく大きい」というイメージでしょうか。お客さんから「美女と野獣」の野獣みたい、という声をよく聞きます。体重は大きなオスだと1トンくらい。リョウの場合は、そこまで大きくはありません。メスは、オスより一回り小さいです。毛の様子は、冬毛と夏毛ではずいぶん違います。GWくらいになると、冬の間にモコモコに溜めこんだ冬毛が、背中の真ん中からボロボロっと毛布のように剥がれてきます。たまに、園路に落ちていたりするのを発見します。表側がドレッドヘアのような感じ、裏はきれいなフェルトになっていて、断熱性があるそうです。野生だと、背中に雪が積もっても融けないくらい。夏毛に生え変わると、一見、毛が生えているのが分からないくらい、お尻のあたりはつるっとしています。名古屋の夏は暑いため、バイソン的には冬が一番快適に過ごせるんじゃないでしょうか。雪の中を2頭がスキップするように走っている動画を、公式Youtubeで紹介しています。雪が降るとテンションが上がるようです。1年を通して見た目は変わりますので、ぜひ、色々な季節に足を運んでほしいです。

絶滅の危機からの復活

写真提供:名古屋市東山動植物園

アメリカバイソンは、元々は北アメリカに広く生息していて、3000万頭から6000万頭ほどいたと言われています。ネイティブアメリカンが食料にしたり、毛皮や骨などを利用したりして、バランスをとって生活していました。しかし、ヨーロッパ人が開拓でアメリカに入ってきたことで、ネイティブアメリカンを支配するため、食料であるアメリカバイソンを駆除してしまったんです。それにより数が激減しました。調べた資料には、541頭まで減ったと書かれていました。超のつくほどの、絶滅危惧種だったんです。そこから、彼らを保護し繁殖させた民間の方々の努力があったり、アメリカ政府の中でも保護政策が進んだりして、今は50万頭くらいにまで数が復活したそうですが、約90%が飼育下の家畜といわれています。

施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1

取材先

東山動植物園 飼育第二グループ 武田 梓さん

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