愛知県の西部、木曽川に近い稲沢市の祖父江(そぶえ)地区には、自生しているホタルが今も残っています。20年以上、生息調査も行われてきました。ホタルの保護のため「実験田(じっけんでん)」プロジェクトも行われています。祖父江のホタルを守る会で活動をつづけるリーダーのおひとり、山内 晴雄さんに今回はスタジオにお越しいただき、お話をうかがいました。
世界的にも珍しい日本の水生ホタル
日本に生息しているホタルの仲間は、およそ40種類といわれています。よく光るものと、光らないものとがありますし、すべてが水辺に棲んでいるというわけでもありません。幼虫時代に水の中で暮らす「水生ホタル」は世界的にも珍しく、日本ではたった3種類。清流に生息するゲンジボタル、水田や湿地に生息するヘイケボタル、久米島に生息するクメジマボタルです。稲沢市の祖父江地区に生息しているのはヘイケボタルで、ため池や田んぼ、排水路などに生息しています。本来は田んぼなどで暮らすはずですが、農薬の影響などで姿を消してしまい、田んぼを逃れて、雨水やお風呂の排水が流れているような「え?こんなところに?」というような場所で生き延びているホタルを目にした時は驚きました。
ホタルが「環境の指標」といわれる理由
山内 晴雄さん
ホタルが棲みつくような田んぼなどの私たちの身の回りにある水辺。その環境が悪化すると真っ先に消えていくのがホタルなんです。つまりホタルがいるようなところなら、かなり安全だと言えますよね。ホタルの生育には、幼虫のエサになるタニシがいないといけないのですが、除草剤や殺虫剤などのせいで、現在の田んぼにはタニシがほとんどいなくなりました。さらに最近は、稲を食べてしまうジャンボタニシという外来種を駆除するための薬を、田植えの際に撒いたりもします。
ホタルは人工的に飼育することもできます。エサを与え、心地よく息ができるよう整えてあげれば…です。しかし自然環境ではそうもいきません。ホタルは多様な生きものたちと一緒に暮らしています。ホタルだけで生きているわけではないんです。
生物多様性の大切さを体感できる、実験田プロジェクト
守る会も発足から20年。以前はホタルだけを守っていた時代もありました。しかしどんどんその数は減ってきました。ホタルが棲める「生物多様性」自体が崩れてしまっているんです。そこで、ホタルを中心に今の田んぼを昔の田んぼのように構造改善してみようかということで、2013年から始めたのが「実験田」プロジェクトです。水田内に水路を作ることで冬でも少し水が残るようにし、農薬を一切使わず、化学肥料も使わずに昔の農法で稲を作ってみたら、きっといろんな多様性がでてくるだろうと。そこから生物の多様性が大事ということを体験的に学んでもらおうと始まりました。3000平方メートルくらいの田んぼなんですが、皆さんに参加していただいて、草取りや田植え、稲刈りもやり…。ホタルのエサであるタニシはものすごく増えましたし、絶滅危惧種のメダカもじゃんじゃん増えました。ドジョウに、カマキリに、カエルに、トンボ…。稲の外敵となるカメムシもでてきましたが、カエルやカマキリが食べちゃうんです。上手に管理すれば、農薬はいらないんです。6年前にはこの田んぼをご覧になった市長さんが感激されたのをきっかけに「稲沢市ホタル保護条例」も制定されました。市や環境について協力してくださる企業のバックアップで、毎年7月の第一土曜日※にホタルについての講座を行い、そこに参加してくれた方たちと一緒に保護区の観察会を行っています。
※今年度のホタル講座は終了しています
NPO法人 祖父江のホタルを守る会 山内 晴雄さん
この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。
Brother presents Music Earth
今、世界では温暖化、貧困、格差社会…様々な地球規模の課題があります。
これからの「地球」の為に、今、私たちにできる事は一体何なのでしょうか?
毎週月曜 19:30 -19:55
FM AICHIにて放送中

