2026.08.12

特定非営利活動法人 日本パラパワーリフティング連盟理事長・愛知学院大学健康科学部教授 石田 直章さんのSDGs

パラパワーリフティング (2/2)

2026.08.12

今年10月に愛知、名古屋で開催される第5回アジアパラ競技大会を前に、もっと「パラ競技を知りたい!」との思いから、さまざまなパラスポーツを取り上げています。先週に続き、特定非営利活動法人日本パラパワーリフティング連盟理事長で、愛知学院大学健康科学部教授の石田 直章さんにパラパワーリフティングの魅力をうかがいました。

非常に古い、パラパワーリフティングの歴史

石田 直章さん(写真提供:日本パラパワーリフティング連盟)

「パラパワーリフティング」という名前になったのは、僕が聞いている限りでは1984年くらいからですが、実はその前から「ウェイトリフティング」の障がい者部門として、1964年の東京オリンピックの時からあって、下肢の麻痺の方々で競技を行っていたという歴史があります。パラ競技として日本が取り組み始めたのは1998年ごろから。連盟発足の呼びかけがあり、正式に連盟ができたのは1999年です。私が最初にパラリンピックのコーチとして参加したのは2008年の北京大会。その時の参加選手はたった1人でした。2012年のロンドンも私ひとりがコーチで、選手は3人に増えました。2016年のリオでは、選手3人は同じでしたがコーチが2人に増えて、そして2020年の東京(開催は2021年)では3人の男子選手とともに、初めて女子選手が出場しました。コーチはイギリス人コーチも増えて3人態勢に。しかし最近は世界のレベルが上がり、参加標準記録もどんどん高くなってきて、現在はだいたい各階級とも世界で8位以内に入っていないと出場できないため、前回のパリの時には、選手1人とコーチ1人にまた戻ってしまいました。

パラ競技ならではの、コーチと選手のつながり

写真提供:日本パラパワーリフティング連盟

競技の醍醐味は「選手同士の力の比べあい」はもちろんですが、コーチの立場からすると、開始の合図からバーを挙げて試技終了までのわすか3秒※の勝負で見られる、「コーチと選手のつながり」に注目していただければ嬉しいです。健常者によるパワーリフティングとの大きな違いは、コーチが選手に付き添うこと。準備などをサポートして、選手と一緒に舞台にあがります。選手の斜め後ろで付き添う形で見守るんですが、そこで、コーチと選手の息のあったところをぜひ見ていただきたいと思います。競技は同階級の選手の中で、1回でも挙げた重量(成功重量)の重さで順位が決まりますが、3回の試技で、スタート(第1試技)の重量と、第3試技の重量は変更ができるんです。選手の調子を見ながら「今日どこまで挙げられるか?」と、他の選手との駆け引きに、選手とコーチが相談して作戦を立てたりもします。他の国の選手を見るときも、選手とコーチとのつながりをポイントに観戦すると面白いと思います。サポートの仕方もそれぞれ違いますし、僕も他のコーチを見て、選手との息の合わせ方を見習ったりしています。

試技の流れについては前週を参照

パラパワーリフティング、日本の注目選手は?

写真提供:日本パラパワーリフティング連盟

パラリンピックにはまだ出ていないのですが、田中 秩加香(ちかこ)選手。下肢障がいの他に視覚障害もある選手で、ここ3年の間にめきめき力を伸ばしていて、73キロ級での出場が有望です。調子がよければ105kgくらい挙げるんじゃないかな。男性の候補者も4、5人います。まずは西崎 哲男選手(49キロ級)。リオのパラリンピックの出場経験があり、146kgの日本記録を持っています。自分の体重の3倍を挙げるんですから、すごいですよね。そして日野 雄貴選手(80キロ級)。まだパラリンピックの出場経験はありませんが、最近どんどん力をつけてきているので、今度のアジアパラで自己記録を更新してくれれば、上位を狙えるんじゃないかと思っています。185kgくらいは挙げてほしいですね。大会には各階級でその国のトップの選手しか出られませんが、さらに「アジアパラゲームズ・ランキング」※というものがありまして、男子はそこで各階級9位まで、女子は7位までに入っていないと今回のアジアパラ大会に出られません。そのほか「バイパルタイト」といってそのランキングでの選出枠から外れた選手を対象にした推薦枠もありますが、今回のアジアパラ大会に一人でも多くの選手が出場できればと思っています。男女あわせて5名以上出場して、その中から一つか二つ、メダルを獲得してほしいです。

世界パラ・パワーリフティング連盟(WPPO)の規定や公認大会の結果に基づいて算出される、アジアパラ大会への出場者を決めるランキング。

※放送時には、アジパラ競技大会出場選手はまだ決まっていません。

取材先

特定非営利活動法人 日本パラパワーリフティング連盟理事長・愛知学院大学健康科学部教授 石田 直章さん

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